脳科学を活用しよう!②
2016年10月25日 [ADHD 対応]

前回、人の行動を決める脳の働きは、主としてドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンという3つの神経伝達物質のバランスによって決められているため、これらをしっかりと増やすことでADHDの症状を軽減することが出来ること、そしてドーパミンを増やす方法をお伝えしました。
今回は引き続き、セロトニンやノルアドレナリンについて、書いてゆきたいと思います。
セロトニンを増やす方法は?
幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンを増やす方法として、一般的には運動をする、日光に当たるということがあげられます。ゲームやテレビに夢中になりがちですが、上手く誘い出して外で体を動かして遊べば、セロトニンもドーパミンも増やすことが出来ます。
そして子供さんのセロトニンを増やすには、ご家族などがやさしく「見つめる」「ほほえむ」「話しかける」「ほめる」「さわる」といったことが役立つとされています。
プンプン怒りながらほほえんだり、ほめるたりする事は出来ませんから、これらを心がけることでご家族にも自然と笑顔が増えてゆきます。ADHDの子供さんは忘れ物が多いなどの理由で叱られがちですが、家の中でいつも家族から叱られていてはストレスがたまってセロトニンやドーパミンを増やせません。叱りたい気持ちをぐっと抑えて冷静に注意をし、何か出来たら抱きしめたり手を握ったり、少し大きな子供さんならハイタッチをするなど「さわりながらほめる」ことで、良い循環を作りましょう。
こちらもあわせてご覧下さい→ADHDの子供はストレスだらけ?!
ノルアドレナリンは増やして良いの?
ノルアドレナリンはストレスホルモンとも呼ばれ、痛みや危険を感じたときに増える神経伝達物質です。それは危険が迫っているのにのんびりしていては命に関わるため、ノルアドレナリンを多くして注意力や集中力を高めて身を守るために必要だからなのです。また、ストレスに対する抵抗力を高めてくれる働きもありますから、たとえば苦手な集団生活をしなければならないなどストレスを感じやすいADHDの方には特に必要な物質です。
先にも書いたとおり、多すぎると不安感が高まり攻撃的になるなどの悪影響もありますが、一般的にADHDの方はノルアドレナリンが不足していますので、あまり増えすぎを気にしなくても良いでしょう。
ノルアドレナリンを増やすには規則正しい生活、充分な睡眠、そしてバランスの良い食事が必要といわれています。
食事にも気を配りましょう!
運動や接し方、規則正しい生活などに加え、食事でもドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンを増やすことが出来ます。
ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンはいずれもアミノ酸がないと作られませんから、アミノ酸の補給源となるタンパク質(肉・魚・大豆製品)をシッカリと摂りましょう。
人間が必要とするアミノ酸は20種類ありますが、ドーパミンを増やすには特にチロシンというアミノ酸が必要とされています。たけのこの水煮を切ると、中に白い粉の塊のようなものがあると思いますが、あれがチロシンです。チロシンはタケノコ以外にもチーズをはじめとする乳製品や肉類、豆類、しらす干しなどに多く含まれています。
セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られます。トリプトファンは乳製品、大豆製品、魚類、ナッツ類、バナナや卵などに多く含まれています。
ノルアドレナリンの原料となるアミノ酸はチロシンやフェニルアラニンです。フェニルアラニンも肉類、魚類、大豆類、乳製品、卵などに多く含まれています。
またアミノ酸のほかにビタミンB群、特にビタミンB6はドーパミンやセロトニンを作るときに必要不可欠です。
*参考 『満足脳にしてあげればだれもが育つ!』 平山諭著 ほおずき書籍
腸の健康も大切です!
以前は、腸は栄養の吸収をするところと考えられていましたが、徐々に免疫力に深く関わっていることが、
さらに新しい研究では「第2の脳」といわれるほど多くの働きをしていることが分かってきました。
それらの研究の中で、ドーパミンやセロトニンは脳だけではなく、腸でも作られていることが明らかになりました。
しっかりとドーパミンやセロトニンを増やすためには、腸が健康でいることも大切ですから、乳酸菌を含むヨーグルトや発酵食品、やオリゴ糖を含む根菜類や豆類、食物繊維を多く含む野菜や海藻などをしっかりと食べるようにしましょう。
こちらもあわせてご覧下さい→ADHDの子供は善玉菌不足?
こちらもあわせてご覧下さい→脳と腸の元気のための栄養素とは
ADHDの改善に役立つ神経伝達物質を増やすには運動、接し方、規則正しい生活、そしてバランスの良い食事が必要です。しかし一度に全部を行うのは大変ですから、できることから少しずつ取り入れ、無理なく習慣化することを心がけましょう。
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