社会性を高めるためには?
2016年9月27日 [ADHD 対応]
親御さんからみて、危険だったり迷惑をかけたりするからやめさせなくては!という行動ではないけれど、家族や友人と仲良く過ごすために「直して欲しい」と思う行動も多いと思います。これらについても、頭ごなしに叱ったり、単に注意したりするだけでは、なかなか改善するものではありません。
ではどうすれば良いのでしょうか・・・。

冗談が通じない場合
ADHDの特徴を現す言葉のひとつとして、よく「空気が読めない」といわれます。これは思いつきで行動をしがち、協調性・共感力が乏しい、思っていることを上手く言葉で表現できない、などの特徴によるものでしょう。
友達と打ち解けにくい理由のなかに、「冗談が通じない」ということがあります。小さいうちはそのような機会は少ないでしょうけれど、年齢を重ねて中学生・高校生となると冗談を言って笑いあうことが日常的になります。そのときに共感力が低く、冗談が通じないと仲間はずれにされる、友達が出来にくいといったことの原因となります。
冗談を言って笑うことは、相手をバカにして笑っているわけではないし、全くの無駄で低次元の行動でもない、ということを小さいうちに理解してもらいましょう。
そのためには家族で、まずは冗談をいってみる、その後に役割を交代してやってみて、みんなで楽しく笑うという事を何度も繰り返し、冗談は楽しいものだということを体験として覚えられるようにしましょう。
その前提として家族との関係が上手く行っていることが必要です。
また冗談を言うときにはお互いに目を見て、微笑みながら言い、たとえ上手くできなくても、役割を演じられたら「出来たね~」と必ず褒めましょう。
もちろん冗談がわからなくても生きては行けますが、小さい頃からこのようなトレーニングを行うことで、人間関係の作り方を学ぶことが出来ます。
反抗的な態度をとる場合
ADHDの子供さんに限らず、成長の途中で自我が芽生えたり、自己の存在について考えたりする中で、多くの子供が年長者に対して反抗するものです。反抗をする時期というのは、その時々で精神的に自立をしようとしている時ですから、叱りつけたりせずに広い心で見守りましょう。
小さい頃から「どうしたい?」と子供さんの意思を尊重したり、「わかる、わかる」と共感をしめしたり、小さなことでも褒めて自己肯定感をもたせたりするようにすることで、反抗の程度を軽くすることが出来るとも言われています。
しかし、もともと衝動性が強かったり、自分の感情のコントロールが下手だったりするADHDの子供さんの場合、物を投げつけるなど親御さんに危険が及ぶほどひどく反抗するケースもあるようです。
そのような場合でも叱りつけたり、詰問したりせず、じっくりと子供さんの言うことを聞いて、理解しようと努めてください。人間関係を築くのが上手くないADHDの子供さんは、成長するにしたがって
自分の気持ちと現実とのズレに苛立ちを感じがちです。それに対して「何で言うことを聞かないのっ!」と怒鳴っても、「誰も自分のことをわかってくれない」とますます態度を硬くするばかりです。
怒鳴ったり、物を投げつけたりする子供さんの話を、じっくり聞こうとするのは本当に難しいことですが、それを出来るのは親御さんだけです。何が不満なのか?何に対して怒りを感じるのか?を少しずつでも聞いて、「辛いんだね」「怒っているんだね」と共感を表すことで、少しずつ改善できるでしょう。
またADHDと併発して反抗挑戦性障害という障害を持っていることも考えられます。上手に対応しても挑戦的・反抗的な態度が改善されない場合には、市町村などの保健センターや子育て支援センター、発達障害者支援センターなどに相談してみるとよいと思います。
*参考:平山諭著『発達障害への対応』(明治図書)
子供さんに対して、友達を作って欲しい、兄弟とも仲良くして欲しい、成績もよくなって欲しい、素
直な良い子でいて欲しい・・・と望むことはたくさんあると思います。でもADHDの子供さんは、手先だけでなく生き方も不器用なことが多いものです。
沢山のことを求めて叱ったりせず、子供さんの良いところを伸ばして成功体験を増やすほうが、将来につながることでしょう。
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