ADHDの子供は不器用？

絵や文字が上手に書けない・・・

　ADHDの子供さんは、不器用でボタンを留めたり箸で物をつまんだりが上手くできない、文字や絵を上手に書けない、楽器の演奏が苦手などというケースが多いと言われています。
これらの不器用さは、目で見たことと同じように動かしなさいという脳からの指令が、上手く手に伝わらないからと考えられています。そのため、お手本とかけ離れた文字を書いてしまったりするのです。
そのうえ不注意がちなのでお手本の細かいところを見落とす、忘れっぽいので前回注意されたことを忘れるなどが重なると、苦手意識に拍車が掛かってしまいます。

スポーツも得意ではないことも・・・

　さらに走るのが遅い、ボールを受けたり投げたりも苦手・・・と体育の授業を苦痛に感じる子供さんも少なくありません。これも不器用さと同じ理由で、お手本と同じことを再現するのが苦手であることに加え、体のバランスをとるのが上手くできないことなどによるものと考えられています。
そのため休み時間に皆で球技をして遊ぶときなどに仲間にいれてもらえない、運動会やスポーツ大会で同じチームになると文句を言われるなど、寂しい思いをしてしまうこともあります。
　＊参考：平山諭著『発達障がい児本人の訴え＜Ⅱ逐条解説編＞』（東京教育技術研究所）

遊びながらトレーニングしましょう

　だからといって、漢字ドリルをつかってひたすら文字を書かせる、毎日親とキャッチボールをさせる、などの「特訓」を行っても、なかなか目に見えて上達はしないものです。飽きっぽく変化を好むADHDの子供さんの場合は、それらによって「嫌い！」という意識が強くなってしまうこともあります。
そこで楽しく遊びながら、脳と手の連携が上手くいくようにする、体のバランスをとれるようにする方法を試してみませんか？

・タッチングクイズ

紙に背中の絵を書きます。
子供さんの肩や腰、脇などの一箇所を、親御さんが指で触れ、どの部分に触ったかを絵を指差して当ててもらう。上手になったら、簡単な数字などをかいて、当ててもらう。
→体で感じる感覚を養うことができます。

・コイン遊び

テーブルの上に置いたコインを、指先でつまみ上げ、一旦握ってから貯金箱に入れる。３分間で何枚貯金箱に入れられるかを数える。
→指先や手のひらで握る経験を増やします。
・ブランコやジャングルジムで遊ぶ

→普段あまり体験しない体を揺らす、棒をつかんで登るなどの運動をすることによって、平衡感覚が養われ、体のバランスをとりやすくなります。

　これらはもちろん一例ですから、体の感覚に集中する、指先を動かす、手のひら全体で物を握る、全身を動かす遊びなら何でも構いません。小さな子供さんなら、体のあちこちをくすぐったり、抱っこしてゆすってあげたりするのもよいでしょう。
嫌い、苦手といった感情を抱かないよう、子供さんが楽しく遊んでくれることを探しましょう。
＊参考：木村順慣習『発達障害の子の感覚遊び運動遊び』（講談社）

　 単に不器用・苦手というだけではなく、不器用なためカップラーメンを作ろうとして熱湯を手にかけてしまった、体のバランスをとるのが苦手でしょっちゅう転んでしまうといった、怪我などにつながる怖れもあります。軽い怪我などは経験のうちかもしれませんが、高いところから落ちて大怪我をしたりしては大変です。
苦手なことがあれば、出来るだけ早い時期から、楽しく遊びながら改善のためのトレーニングを重ねましょう。
運動をしたり、リズミカルに手を動かしたりすると、気持ちを安定させる神経伝達物質であるセロトニンが増えて、落ち着きが出るというメリットもありますよ。

詳しくはこちらをご参照ください
→「ADHDの子供は思いっきり体を動かそう！」
→「手遊びでADHDのお子さんにも落ち着きが！」