説明は「見える化」「具体化」でスムーズに!
2016年7月5日 [ADHD 対応]

返事は良いのだけれど・・・
ADHDを含む発達障害の子供は、視覚優位である事が非常に多いといわれています。聴覚は正常なのですが、言葉で耳から入った内容をしっかりと認知する事が上手くできず、ふたつの事を指示されてもひとつしか出来なかったりしがちです。
真剣に聞いていて「わかりましたか?」と聞くと「はい!」と返事をするにもかかわらず、きちんと出来なくて、周囲から「本当にちゃんと聞いていたの?」と言われたりもします。
本人としても「言われたことがわからなくて、出来ずに叱られた」「みんなが出来ているのに自分だけ出来なかった」と感じて劣等感を抱いたり友達にからかわれて傷ついたりと、やらなければならない事が出来ないだけではなく、精神的なマイナスも生じてしまいます。
*参考:平山諭著『発達障がい児本人の訴え<Ⅱ逐条解説編>』(東京教育技術研究所)
まずはやって見せましょう
言葉だけの指示はわかりにくいので、「テーブルの上にお茶碗とお箸を並べてね」と頼むときは、面倒でもまず一人分をセッティングして「これと同じように、4人分を並べてね」とやって見せるとスムーズに出来るでしょう。そしてそれを繰り返せば、言葉だけの指示でも出来るようになりますから、 根気良くやって見せることが必要です。
目に入るところに貼っておきましょう
やって見せる事は大切ですが、毎日の生活のなかであれもこれも何度もやって見せることは大変です。たとえば机の上をきちんと片付けて見せたら、写真を撮ってプリントしたものを机の前に貼って置き、次からは「写真と同じように片付けてね」と言うとわかりやすいですよね。
翌日の時間割に合わせて教科書やノートを揃えるときも、予め各曜日に必要なものを写真に撮って貼って置くなど、目で見て理解できるようにしておくと、スムーズに準備が出来るでしょう。
また毎日毎日「早く着替えなさい!」「着替えたらテレビ見てないでご飯よ!」と同じ事を繰り返し言わなければならないご家庭も多いことでしょう。 そこで毎日のタイムスケジュールを時計の絵や洋服の絵などと一緒に書いたものを目に入るところに貼っておき、子供さんが自分の目で確認出来るようにしておくと良いでしょう。
言葉で説明するときは・・・
外出先や団体行動の最中など、やって見せる、絵や写真を見せるということが出来ないことも実際の生活の中では多いと思います。
そのような時は一度にいくつも指示をするのではなく、ひとつずつ、それも出来るだけ短い言葉で説明するようにしましょう。
また最初に言われたことの方が頭に残りますから「これからすぐに病院に行かなければならないから、急いでおもちゃを片付けてね」のように、理由→やることを言うのではなく「おもちゃを片付けてね。3分で片付けて。すぐに病院に行かなければならないから」というように、まずやることを、短い言葉で伝えるとよいでしょう。今の例では一番重要な「片付けて」と言う言葉が2回出てきますので、より「片付けて」という事が印象付けられます。
また「急いで」「ちょっと」といった具体性のない事を理解することも苦手なことが多いので「あと10センチ右に置こうね」「7時までに終わらせてね」などのように具体的な数字を使って説明をするとわかりやすいでしょう。
ごほうびも利用しましょう
ごほうびについては、物をエサにして釣っているようだと抵抗を感じる方もいるかもしれません。でもやっぱりご褒美はうれしいものです。また必ずしも物あげる必要はなくて、一緒に遊ぶなどでも良いでしょう。
やるべきことをきちんと出来たら表にシールを貼って、決めた数まで溜まったら、一緒に買い物に行って欲しい物を買ってもらえるとなったら、大人だって頑張っちゃいますよね(笑)
そして子供にとって一番のごほうびは「上手に出来たね~」と抱きしめたり撫でたりしながらほめてもらうことです。大きくなってきたらハイタッチも良いでしょう。ほめられたことが自信となり、出来ることがひとつずつ増えていきますから、一日に何度でも大げさなぐらいにほめましょう。
詳しくはこちらをご参照ください→「ごほうび」はあげて良いの?悪いの?
大人が「このぐらいの事なら言えばわかるよね?」と思うような事でもADHDの子供さんにとっては理解しにくい事が多いのです。
やって見せる、絵や写真で説明する、言葉で説明するときはやって欲しいことから短く簡潔に、を実行すると行動がスムーズになり、親子共にストレスが減るでしょう。
そしてちゃんと出来た時はしっかりほめることも忘れずに!
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