「ごほうび」はあげて良いの?悪いの?
2016年5月24日 [ADHD 対応]

ごほうびで子供を釣るのはいけないこと?
ADHDの子供さんに毎日の暮らしの中でのルールを覚えてもらうため、ちゃんと出来たら「ごほうび」をあげるという方法があります。この場合のごほうびとは決して高価なものを指すわけではなく、お気に入りのシールだったりもします。
上手く使うと、この「ごほうび作戦」は効果があるのですが、親御さんによっては「ごほうびで子供を釣るなんて!」「犬におやつをあげて芸を覚えさせるみたい」と疑問や抵抗を感じる方もいらっしゃいます。
確かにそう言われれば・・・という気持ちにもなりますが、やっぱり大人だって何のごほうびもない時よりも、「もうちょっと残業してこの仕事を終わらせたら、家に帰ってプレミアムビールを飲もう!」と考えたときの方が頑張れますよね(笑)
特に目標に向かって努力を「続ける」ことが苦手なADHDの子供さんに対しては、ごほうびを上手く使って「出来なかったことを出来るようにする」ことが大切です。
ごほうびにも種類があります
ではどのような「ごほうび」が良いのでしょうか?ごほうびにもいくつか種類があります。
・対人的ごほうび~言葉でほめる、抱きしめる、頭をなでるなど。
・物質的ごほうび~おもちゃやおやつなど。
・遊びのごほうび~一緒にゲームをする、公園に行くなど。
・象徴的ごほうび~シール帳にお気に入りのシールを貼るなど。
子供さんによって欲しいものが違いますし、いつも同じものが欲しいとは限りません。沢山のごほうびリストの中から選ぶのも楽しいですよね。
ほめることもごほうびです
上記のとおり、ほめることも立派なごほうびです。ちゃんとルールが守れたときなどには、大げさすぎるぐらいにほめましょう!
子供さんはほめられることで「親から注目された、気にかけてもらった」と感じます。反対に叱られたときも、同じように「親から注目された、気にかけてもらった」と感じますので、家族にほめられることがない子供さんは、無意識のうちに注意を引こうと、ますます叱られるような行動をとりがちです。
「出来たらほめる」という習慣を持つことで、自然と叱られるような行動を減らすことも出来るのです。
上手なごほうびのあげ方は?
まずは守って欲しいルールをひとつ選びましょう。
どんなごほうびが効果的かは子供さんによって異なります。親子でよく話し合って決めましょう。そして守れなかった時の「罰」も同じく話し合って決めます。
例えば「朝食の後は、遊ばないで着替えをする」ことを守ってもらいたいこととし、きちんと出来た時のごほうびは「ゲームをいつもより20分長く出来る」、守れなかった時の罰は「テレビを見る時間をいつもより10分短くする」と決めます。ごほうびで余計に遊べる時間が20分なのに対して、罰の時間は10分です。このようにごほうびと罰を比べた場合、ごほうびのほうが「良い条件」であるようにして、前向きにやる気を出してもらえるようにしましょう。
ここで言う「罰」は、子供さんに辛い思いをさせるためのものではなく、ルールを覚えてもらうためのものですから、叩く、嫌いなものを食べさせるといった、苦しみを与えるようなことは避けて下さい。
そしてきちんと出来たら、ごほうびをあげるだけでなく、シッカリとほめましょう。単に「出来たから、おやつね!」と事務的にごほうびをあげても効果的ではありません。
反対に出来なかった場合は感情的に叱ったりせず、淡々と罰を言い渡しましょう。叱られるとやる気をなくしたり、親の気を引くことが出来たと勘違いしたりしてしまいます。
そして罰の後には「ルールを守れなかったから罰を与えたけど、あなたのことは大好きだよ。明日はちゃんとやろうね」と、フォローしましょう。
良好な親子関係がなければ、ごほうびも罰もその役割を果たすことが出来ないのです。
*参考:ダニエル・エイメン著『「わかっているのにできない」脳2』(花風社)
ひとつのことをきちんと出来るようになったら、新しい目標とごほうび、そして罰を決めて、ひとつずつ出来ることを増やしてゆきましょう。
頑張りを続けることが苦手なADHDの子供さんにとって「ごほうび作戦」は「その気にさせる」のに適した方法です。
ごほうびと罰を上手につかって、良い生活習慣を身につけてゆけば、日常生活をスムーズに送れるようになり、子供さんの自信につながってゆきます。
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