ADHDの子供の成功体験を増やそう!
2015年10月13日 [ADHD 対応]

問題となる二次障害
ADHDの子供は、小さいころから「何をやってもうまく出来ない」「叱られてばかり」と感じることが多く、また周囲からもトラブルメーカーとみられることもあります。そのため「なにもかも上手く行かないに決まっている」「からかわれて頭にくる」「学校になんて行きたくない」などとネガティブな気持ちが強くなりがちで、それが原因となって不登校、うつ、引きこもり、家庭内暴力などの二次障害を起こすこともあり、ADHDそのものよりも二次障害で苦しむ方も少なくありません。
二次障害を防ぐ方法のひとつとして「自分にも出来るんだ!」という成功体験を積み重ねていくという方法があります。
詳しくはこちらをご参照ください→ ADHDは十人十色
診断にかかわらず早いうちから実行しましょう
成功体験を積み重ねていくことは、ADHDの子供に限らずすべての子供に大切なことです。ADHDではないから、まだADHDかどうかわからないから、ということなく、発達段階の早いうちから実行するとよいでしょう。
また子供はどんどんと成長してゆきますから、成長にあわせて対応も変えてゆく必要があります。
まずは親が落ち着きましょう
特に小さい子供の場合はADHDかどうかの判断が難しく診断を受けているケースも少ないため、「どうしてこの子は何度同じことを言っても、言うことを聞けないのか?」と親御さんの方がイライラしたり、自分の育て方が悪いのではないかと落ち込んだりすることがあります。親御さんが精神的に不安定だったり、どのように接してよいか迷ったりしていては、その不安感が子供に伝わってしまい、ますます子供が言うことを聞かないという悪循環になりがちです。
ADHDの子供の特徴を学んで、子供にあった対応方法を探し出す必要があります。
母親ひとりが頑張っていては疲れ果ててしまいますから、家族にも説明をして協力をしてもらう必要があります。家族の理解を得られない時には、地域の児童支援センターや発達障害者支援センターなどに一緒に行って話を聞いてもらうなど、専門知識のある第三者から説明してもらうと良いかもしれません。
行動療法を取り入れましょう
ADHDの子供の場合、出来ることをわざとやらないわけではありません。例えば、起きたら朝ごはんを食べて、次には歯を磨き、顔を洗い、着替えて、ランドセルをもって学校へ行く、という他の子はすぐに覚えることが、なかなか覚えられないのです。それを「どうして毎日言っているのに出来ないの!」と叱られても、出来ないものは出来ないのです。
しかし出来ないままにしておくわけにはいきませんから、行動療法という方法で少しずつ出来るようにしてゆくことで、生活しやすくなり、また「出来た!」という成功体験が得られます。
行動療法の基本は「出来たらほめる」ことです。どんな小さなことでも出来たら、一日に何度でもほめましょう。反対にやってはいけないことをした場合には、テレビやゲームの時間を短くするなどの罰を与えます。
ただし出来ないことに対して罰を与えるだけでは出来るようにはなりませんから、先程の例で言えば、朝起きてから学校に行くまでにするべき事を、大きな紙に時計の絵と共に順番に書いて目立つところに貼り、最初は親が「一番目にすることは何?」というようにサポートをし、だんだんと一人でも出来るようにしてゆきます。そして出来たらしっかりとほめて、ひとつずつ出来ることを増やしましょう。
*参考:岩坂英巳編著『ADHDの子どもたち』(合同出版)
専門家に相談することも
「行動療法で出来ることを増やしてゆきましょう」というのは簡単ですが、本当に根気が必要で、うまく進まない時は親も子も精神的に疲れてしまいがちです。
とくに子供がだんだんと大きくなってくると、なかなか親の言うことを聞いてくれなくなりがちです。
地域の児童支援センターや発達障害者支援センター、療育センターなどで専門家に相談して、親身に話を聞いてもらうだけでも親御さんの気持ちが楽になることもあるでしょう。また必要に応じて専門医や、場合によってはカウンセラーやセラピストを紹介してもらうことも可能です。
行動療法は長い期間が必要なので、頑張り過ぎると疲れてしまいますから、周囲に理解者を増やして、親御さんの負担を減らす事も考えましょう。
詳しくはこちらをご参照ください→ ADHDの症状を軽減するために
一般にADHD症状は大人になると軽減するとされていますが、完全になくならないことも多いと言われています。子供が成長しだんだんと自立をしていくにつれて、子供の時の成功体験が少ないと自己否定をし、二次障害の引き金となってしまいがちです。
ひとつずつ成功体験を積み重ねること、そしてその過程で親に褒められることで自分の居場所がある、肯定されていると感じることが将来につながります。
長い目で一歩ずつ前進してゆきましょう。
●記事の内容はいかがでしたでしょうか?●
もし当記事を読んで少しでも興味をもっていただけましたら、はてなブックマークやツイッター等でシェアをお願い致します。非常に励みになります。

最近の記事
- 2017年4月18日
- ADHD 対応
- 怒鳴ったり、叩いたりは逆効果! 関連
- 2017年4月4日
- ADHDと栄養
- ホスファチジルセリンを食べると、どうなるの? 関連
- 2017年3月21日
- ADHDと栄養
- ご存知ですか?ホスファチジルセリンの多彩な働き 関連