「家族会議」で自主性を!
2015年4月14日 [ADHD 対応]

お子さんも家族の一員として話し合いましょう
ADHDのお子さんを持つ親御さんの悩みのひとつとして「何度同じことを言っても、関心が無いことは覚えてくれない」ということがあるでしょう。「夕方6時までには家に帰る」「食後の皿洗いは交代で手伝う」などルールを決めても、「やらない」というよりも「忘れてしまっている」ということがありませんか?
お子さんに家族内のルールに関心をもってもらうために、また自主性や責任感を養うために役立つ方法のひとつに「家族会議」があります。
「家族会議」とは?
週に一度程度、例えば日曜日の夕食後などと決めて家族全員が集まって、話し合うことです。家族旅行の行き先や予定をきめる、家族に報告したいことを伝える、家族内の問題の解決方法など、みんなで話し合いたいことなら何でも構いません。
問題解決の方法として、たとえば「夕方6時までに帰るという約束を守れない」という問題がある時は、「なぜ守れないのか?」「ではどうすれば約束を守れるか?」「守れなかった時はどうするか」などを話し合います。
お子さんが「もっと遊んでいたい。友達ももっと遅くまで遊んでいるよ」と言うのなら、「でも帰りが遅いと家族は心配なんだよ」と、早く帰ってきてほしい理由を説明したうえで「では6時15分までにしましょう」などとある程度の譲歩をすると良いでしょう。その代り「話し合って決めた6時15分までに帰ってこなかったら、テレビの時間を15分減らすのと、おやつを1回なしにするのとどっちがいい?」と、守れなかった時のことも一緒に決めます。
親から一方的に「6時までに帰ってきなさい」と言われるよりも、一緒に話し合って決めたルールなら守ろうという気持ちも強くなります。
そして翌週の会議ではきちんと守れたか?守れなかったとしたらなぜか?を話し合い、必要ならルールを変更しても良いでしょう。
またきちんと守れた時は、充分にほめることも大切です。出来た時はその都度ほめて、さらに翌週の会議の場でも「良く出来たね。えらいね」とほめましょう。
参考:トーマス・アームストロング著・松本剛史訳『ADHDの子供を救う50の方法』(柏書房)
話し合いは冷静に平等に
この会議で大切なことは冷静に話し合うことです。決して感情的になることなく、穏やかな口調で話し合いましょう。そして多数決で決めることなく、皆がそれなりに納得できる妥協点を上手く見つけることが大切です。
また「交代で皿洗いの手伝いをする」というルールを親御さんが守れなかった時も、お子さんと同じようにテレビの時間を減らすなどの罰を受けます。全員が家族の一人として平等であること=お子さんも重要な一員であることを感じ取ってもらえると、お子さんの自信につながります。
そのため議長や書記についても、お子さんにも交代で議長や書記をしてもらいましょう。最初の数回は親御さんがやって見せたら、あとはお子さんが小さい場合でも、親御さんがサポートをしながら家族全員が交代で役割分担をしましょう。
楽しく会議を続けられるように、会議の最初はまずお子さんをほめて、次に問題解決のための話し合いをし、最後には外出先や誕生日パーティーのことなどワクワクするような話をすることをお勧めします。
次の会議のフォローや準備も必要です
会議でせっかく決めたこともADHDのお子さんは忘れてしまいがちです。書記は決めたことを大きな紙に書いて、みんなが良く見る場所に張り出しましょう。小さなお子さんが書記のときは親御さんが決めたことを確認しながら、一緒に書き出しましょう。
またその隣に小さなホワイトボードを置くなどして、次回の会議で話し合いたいことを自由に書けるようにしておくことも大切です。
参考:シンシア・ウィッタム著・上林靖子・中田洋二郎・藤井和子・井澗知美・北道子訳『ADHDのペアレントトレーニング』(明石書店)
自主性・責任感・落ち着きが生まれます
この家族会議を続けることで、お子さんの自主性や責任感が養われます。ADHDのお子さんがいる場合、ついついお子さんが出来ないことに話題が集中しがちですが、お子さんに解決をさせるのではなく家族全員がフォローする方法を考えること、他の家族のことも議題にすることで、家族の一体感が生まれ、お子さんの精神的な落ち着きにも役立ちます。
参考:堀内祐子+柴田美恵子著『発達障害の子とハッピーに暮らすヒント』(ぶどう社)
家族内のことをお子さんの意見も取り入れて決めていくことで、お子さんは家族の一員として尊重されていると感じ、自分で考えることを学びます。お子さんが自分で決めたことに、あまり口出しをせず少々の失敗なら見守ってあげましょう。
ADHDのお子さんがいる場合、ほかの兄弟は「親はあの子ばかりかまって、自分はおろそかにされている」と感じることもあります。またADHDのお子さんは「自分ばかり叱られている」と自信を無くしがちです。
家族会議を続けることで家族に一体感が生まれ、全員で問題解決をしようとする意識が根付きますので、家族全員の関係を良好に保つことにも役立ちます。
参考:ダニエル・エイメン著・ニキ・リンコ訳『「わかっているのにできない」脳②』(花風社)
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