ADHDの子供は思いっきり体を動かそう!
2015年3月17日 [ADHD 対応]

なぜ動き回ってしまうの?
ADHDのお子さんで多動の傾向が強い場合、授業中でも食事中でも構わず動き回ってしまいます。多くの場合、お子さん自身も「歩き回ってはいけない」とわかってはいるのですが、どうしても身体を動かさずにはいられないようです。
その理由ははっきりしていませんが、脳の前頭葉という部分の働きが不十分で、感覚情報の調整がうまく出来ないからと言われています。また前頭葉で作られるドーパミンという神経伝達物質が不足しているためではないかという考えもあります。ドーパミンは運動や意欲、快感などに関わる神経伝達物質ですから、不足しているとそれらのコントロールに問題が生じてしまいます。また動き回る(=運動をする)と全身の、ひいては脳の血流が良くなりドーパミンの放出が増えますので、お子さんは本能的に動き回ってしまうとも考えられています。
お子さん自身も自分の多動に困っていることも多いですから、「じっとしなさい!」と言うばかりでは解決しないのです。
じっと座っていなければならないの?
全員ではないでしょうけれど、ADHDのお子さんの中には普段は覚えられないことでも体を動かしながら聞くと覚えていられる、という方もいます。
そのようなお子さんの場合は、お家で勉強をする時などは無理にじっとさせておく必要はないでしょう。ハンモックやロッキングチェア、回転いすなどを用意して体をゆらゆら揺らしながら勉強しても良いのです。最近はあまり見かけませんが、古い足踏み式のミシンの壊れたものを机代わりにして、足踏みをしながら勉強をしたら集中できたという例もあります。
学校では先生と相談をして、授業の前に少し体を動かす時間を作ったり、授業中に集中が途切れたら立ち上がって短時間でも体操をしたり出来ると、有難いですね。ADHD以外のお子さんでも小学生では45分間ずっと授業に集中しているのは大変ですから、授業中に少しだけでも体を動かす機会を作ってもらえると良いですよね。
*参考:トーマス・アームストロング著・松本剛史訳『ADHDの子供を救う50の方法』(柏書房)
どんな運動がいいの?
運動の種類は問いませんが、心拍数が上がる程度の強度があった方が良いようです。スポーツや走り回るなどで血流が良くなると、脳でセロトニンが作られやすくなります。セロトニンは神経伝達物質のひとつで気持ちを安定させる働きがあり、一般にADHDのお子さんはセロトニンが不足しているとされています。セロトニンを増やすには適度な運動や、早寝早起きの規則正しい生活が有効です。
またジャングルジムに上ったり、滑り台やブランコで遊んだりすると感覚情報の調整がスムーズに出来るようになり、徐々に多動が改善されることも多いようです。
*参考:木村淳監修『発達障害の子の感覚遊び運動遊び』(講談社)

外で太陽を浴びよう!
屋内での運動ももちろん良いのですが、さらにおすすめなのは外での遊びや運動です。お天気次第ではありますが、外に出てしっかりと太陽の光を浴びることはとても大切です。
ADHD症状の軽減に役立つセロトニンは運動で分泌が増えますが、日光を浴びることでもセロトニンの分泌が増えることが分かっています。
さらに朝起きてすぐに日光を浴びると体内時計がリセットされて生活のリズムが整います。ADHDのお子さんは寝つきが悪く朝起きるのが苦手な方が多いので、朝起きたらベランダや庭先に出て軽い体操をすれば、セロトニンが増えるうえに生活リズムも整い一石二鳥です。寒い日など外に出られない時は窓際で太陽を浴びるだけでも良いようです。
また精神安定に欠かせないビタミンDも日光浴によって作られます。もちろん食事でも補給できますが、必要量の半分以上が日光浴で作られています。紫外線による害が知られるようになり、外に出るときはお子さんでも紫外線対策をしているかもしれません。もちろん紫外線の浴び過ぎは良くありませんが、1日に15~20分程度は太陽光を浴びた方が良いでしょう。その場合でも、夏なら帽子をかぶったり、木陰で遊んだりして熱中症対策もお忘れなく。
じっとしていられないADHDのお子さんを無理に座らせようとしても、なかなか上手く行きません。しっかりと運動をする、体を動かしながら勉強などをする方がよければそう出来るようにするなど、お子さんのストレスを軽減できる方法を探しましょう。
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