ADHDの子供とゲーム・テレビのかかわり
2015年3月13日 [ADHD 対応]

テレビゲームはADHDの原因?
ADHDのお子さんに関して「ずっとテレビやビデオを見続ける」「毎日何時間もテレビゲームをしている」ということを良く聞きます。なかには「ゲームのし過ぎでADHDになる」などという説まで・・・。 でも健常な大人でもテレビをつけっぱなしにしていないと落ち着かないという方も沢山いますし、通勤電車の中でスマートフォンなどのゲームに熱中している会社員らしき人達の多いこと!それだけテレビやゲームは人を引き付ける要素が多いのでしょう。
もちろんゲームなどがADHDの原因となることはありません。ただしADHDなど発達障害のお子さんは、より一層ゲームやテレビに夢中になる傾向はあるようです。集中力を保たなくてもパッパッと画面が切り替わっていくゲームやテレビ番組は、ADHDのお子さんが夢中になりやすいものなのかもしれませんね。
ゲームやテレビの時間は制限した方がいいの?
ゲームやテレビはADHDの原因にはなりませんが、症状を悪化させる場合がありますし、日常生活の中でトラブルの原因となることもありますから、ルールを決めて制限のなかで遊ばせたり見せたりするようにしましょう。ルールを決めたら、遊び始めるときにお子さん自身にタイマーをセットさせて決まった時間内だけということを、きちんと認識してもらいましょう。
またお子さんがゲームやテレビに夢中になっていては、親子が向き合う時間がとれません。食事の時はテレビを消して、お子さんと顔をきちんと見あわせながら、その日の予定や、学校での出来事などを話してもらうなど、コミュニケーションの時間も大切です。
ゲームはADHDを悪化させるって本当?
一般の方で行った実験では、アクションもののテレビゲームをしている時は、脳でドーパミンが大量に放出されるという結果が得られたそうです。ドーパミンは神経伝達物質のひとつで、やる気を出したり幸福感をもたらしたりするものです。そのため高揚感が生じて、飽きることなくゲームを何時間でも続けてしまうのです。
ドーパミンが放出されるのは良いことなのですが、問題なのはゲーム中にドーパミンを使い果たしてしまい、勉強などに対してのやる気がなくなってしまうことなのです。
またゲームやテレビに夢中になっていると、自然と運動をする時間が短くなります。ADHDのお子さんは身体を動かすことで、全身の、ひいては脳の血流もよくなって症状が落ち着くことが分かっていますので、テレビの前に長時間座りっぱなしは良くありません。
一般にADHDを含む発達障害のお子さんは「寝つきが悪い」「疲れやすい」傾向にあります。ゲームやテレビに夢中になって夜更かしをして睡眠不足になると、翌朝起きられず学校に行きたくなかったり、疲れが取れずにますます集中力が低下したりしてしまうことも考えられます。
*参考:ダニエル・エイメン著・ニキ・リンコ訳『「わかっているのにできない」脳①』(花風社)
テレビやゲームは「ごほうび」に
また日々の生活の中では、朝起きて学校にいかなければなりませんし、帰って来てからも食事や宿題、翌日の準備などやらなくてはならないことがありますから、ゲームやテレビにばかり夢中になっていては困りますね。「ゲームばっかりしてないで、先に宿題をやりなさい!」と言ったことの無い親御さん、いらっしゃるのでしょうか?
だからといって、お子さんからゲームやテレビを取り上げる必要はありません。テレビは1日2時間、ゲームは1時間などと家庭内でルールを決めましょう。
またゲームをするのは先に宿題を終わらせてからと決めて、「ゲームをしたい」と言われたら「宿題をやったら、ゲームで遊んでいいよ」と、先に宿題をする習慣をつけることも出来るでしょう。
代わりにどんな遊びが良いの?
ADHDのお子さんの場合、出来るだけ体を動かす遊びをした方が精神的に安定し、夜は疲れてぐっすりと眠れるようです。大きなお子さんでしたらスポーツなど、小さなお子さんでしたら親子でくすぐりあったり、歌を歌いながら体でリズムをとったりするのも良いでしょう。「だるまさんがころんだ」はじっと動かないでいることのトレーニングにもなります。
もちろん絵本の読み聞かせも良いですし、指先の感覚のトレーニングにもなるブロック遊びやお絵かき、折り紙などでもよいでしょう。ただし好きなことに夢中になって何時間でも続けてしまう場合は、やはり時間を決めて睡眠不足にならないようにする必要があるでしょう。
ADHDのお子さんの場合、ひとつの物事に対する興味が続かず、いろんなおもちゃを出してきては飽きて次々に散らかしてしまう反面、好きな事には夢中になって何時間でも続ける傾向にあります。睡眠不足になったり、生活リズムが乱れたりしないように保護者が上手にコントロールしてあげましょう。

●記事の内容はいかがでしたでしょうか?●
もし当記事を読んで少しでも興味をもっていただけましたら、はてなブックマークやツイッター等でシェアをお願い致します。非常に励みになります。

最近の記事
- 2017年4月18日
- ADHD 対応
- 怒鳴ったり、叩いたりは逆効果! 関連
- 2017年4月4日
- ADHDと栄養
- ホスファチジルセリンを食べると、どうなるの? 関連
- 2017年3月21日
- ADHDと栄養
- ご存知ですか?ホスファチジルセリンの多彩な働き 関連