ADHDの症状を軽減するために
2015年7月21日 [ADHD 症状 特徴]

ADHDは個性でもあるけれど
ADHDは発達障害のひとつですが、障害というよりも個性として捉えようという考え方もあります。もちろん発想が豊か、活動的などの良い面も多くあります。
しかし現実には授業中に歩き回る、忘れ物が多い、順番を待てないなど社会生活をおくるうえでの問題に悩んでいる方が多く、なんとか症状を軽減したいと望んでいるのではないででしょうか。
ADHDの症状を完全に直すことは難しいですが、行動を改善するトレーニングや、生活環境の改善、運動をする、食事の改善などによって軽減し、社会生活に馴染めるようにすることは可能です。
本人も困っているのです
ADHDの子供はわがまま放題、したい放題に振舞っているように見えることがあります。しかし本人も「どうして自分だけ皆と同じくできずに、叱られてばかりいるのだろう」と困っているのです。
そこへ親や教師が「どうして言うことが聞けないのっ!」と叱りつけては、症状が改善するどころか、ますます本人が混乱して悪循環に陥ってしまいます。
本人がわざと走り回ったり、しゃべり続けたりしているわけではないということを、まずは親御さんがきちんと理解することが大切です。
環境を整え、トレーニングをしましょう
ADHDの子供は脳の機能に偏りがあるため、出来ることと苦手なことがはっきりとしています。機能面の問題で出来ないものをしなさいということは、目の見えない人に文字を読めというのと同じで、いくら叱ってもなだめても無理なのです。
それを少しずつ出来るようにトレーニングするためには、まず生活環境を整えることが必要です。ADHDの子供は物事の順番を判断することが苦手なケースが多いので、そのような場合は朝起きてから学校に行くまで間にすることを大きな紙に順番に書いて、見やすいところに貼っておくと良いでしょう。その時、文字だけではなくパッと見てわかりやすいように、時計の絵や歯ブラシの絵なども書くと理解しやすいでしょう。
また物を散らかしてしまいがちですから、それぞれの物を置くべき場所にシールなどに「ランドセル」「ぼうし」などと書いて貼っておくなど、迷わずに認識できる工夫が必要です。
それらを利用して、最初は親御さんが手伝いながら徐々にひとりで学校へ行く準備をしたり、帰って来てから持ち物を片付けたり出来るようにトレーニングを重ねていきましょう。
親もトレーニングが必要です
親御さんにADHDに関する知識がないと、どうしても「どうして待てないの!」と叱ってしまいがちなうえに、環境整備も何をすればよいかわからないことも多いでしょう。
ADHDの子供は自信を持つことが出来れば症状が軽減することが多いので、否定的な言葉を出来るだけ使わず、子供の言うことをいったん受け止め、少しでも出来たらしっかりとほめることが大切です。
指示をする際も、単に「早く支度をしなさい!」というのではなく、「顔を洗いましょう」などと出来るだけ具体的に言う必要があります。
そのような対応方法を親御さんが学ぶことを「ペアレント・トレーニング」と呼び、その方法を書いた本も沢山ありますし、地域の保健センターなどでトレーニングが行われることもあるようです。
でも日々問題行動をする子供の気持ちを受け止め、さらには自分も対応法をトレーニング、加えて他の兄弟の世話もして家事もして・・・という毎日では、親御さんが疲れ果ててしまいます。同じADHDの子供を持つ親の集まりが各地にありますし、そういった会に参加しにくい場合にはインターネット上のコミュニティーもあります。そのような場で、自分の気持ちを吐き出したり、先輩の体験談を聞いたりすることも良いでしょう。
出来ることから始めましょう
その他にも出来るだけ運動をさせて、ストレスを発散させたり脳を含む全身の血流を良くする、規則正しい生活を送ったり朝食をきちんと摂ったりして生活のリズムを整える、糖質に偏らずタンパク質やビタミン・ミネラルをしっかりと補給できる食事をする、なども試してみる価値はあるでしょう。
また本に書いてあったことや、ペアレント・トレーニングで学んだ事がそのまますべての子供に当てはまるわけではありません。子供の様子をしっかりと観察しながら、ある程度大きい子供なら一緒に考えながら、適した対応法を考えましょう。そして自信は何より大切ですから、些細なことでも出来た時にはしっかりと褒めましょう。
どの方法も即効性があるものではありません。根気強く、ひとつずつ改善していくしかありません。親子とも、ストレスを溜めないように自分なりのストレス発散方法を見つけながら、子供の将来のために取り組みましょう。
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