ADHDの人の仕事探し
2015年6月16日 [ADHD 症状 特徴]

ADHDの人に向く仕事は?
ADHDの大人の多くの人は、なんらかの仕事をして収入を得て生活をしてゆかなければなりません。ADHDの人は得意なことと苦手なことがはっきり分かれていることが多いでしょう。そのため仕事を続けて安定した収入を得るには、出来るだけ苦手なことをしなくて済み、得意分野を活かせる仕事を探さなければなりません。じっとしているのが苦手で飽きやすい人が、工場のラインで同じ作業を繰り返す仕事に就いては長続きしないでしょうし、細かい確認が苦手な人には校正者は務まらないでしょう。
「何の仕事でもやってみなければ、向くかどうかわからない。やる前から向かないと言って、仕事をえり好みするなんて!」という正論を言う人もいるでしょうが、ADHDの人の場合、向かないとわかっている仕事を選ぶことはお勧めできません。
一概に「ADHDの人には○○の職種が合う」ということは言えませんが、まずは自分の得意なことと苦手なことを冷静に書き出して、どのような仕事が自分に合うかをよく考えてみましょう。
自分を理解し、必要なトレーニングをしよう
最初に言っておきますが、現在の社会状況で、パッとすぐに希望の仕事に就ける確率は低いでしょう。不採用の通知が来たら、誰だって落ち込むでしょう。でもそれはあなたが必要のない存在だからなのではなく、たまたまその会社のニーズと合わなかっただけです。今の時代、仕事を探すのは本当に大変です。不採用の通知を受け取ったからと言って、自分を否定しないで下さい。
そのためにも最初に自分の得手・不得手をきちんと理解しておきましょう。自分の長所が良く見えない状況で、次々と不採用通知を受け取ると「自分は社会から必要とされていないのでは」などと考えがちで、次の面接でもおどおどしてしまい、しっかりとした受け答えが出来なくなるといった悪循環に陥りがちです。
また採用面接ではわざと意地悪な質問をして、応募者の対応を見ることもあります。衝動的な言動をとらないよう、注意が必要です。そのためにも、自分はカッとしやすいのか、冷静でいられるのかなど自分を理解し、必要なら前もって対応を練習するなど準備をしておく必要があります。
*参考:星野仁彦著『発達障害に気づかない大人たち』(祥伝社)
仕事探しはじっくりと
ADHDの人の特徴のひとつに、やらなければならないことを先延ばしにするということがあります。しかし仕事探しに関しては決して先延ばしせず、すぐに行動を開始してください。
最初に述べた通りADHDの人の場合、自分に合った仕事を探すことが大切です。「自分は自由にしていた方が力を発揮できるから、自営業かフリーランスが向いていると思う」という人も多いのですが、自営やフリーランスで収入を得るのは実力が無ければ難しいですし、会社勤めなら総務や経理の担当者がやってくれる書類作成や手続きなど、ADHDの人が苦手な作業も自分でやらなくてはなりません。「なんとなく自由に出来そう」などというイメージにとらわれることなく、しっかりと情報収集をしなくては、後から「こんなはずでは・・・」ということになってしまいます。
自分に合っているのでは?と思う仕事をいくつか探したら、インターネットや図書館などでその仕事や会社について調べるだけでなく、友人や知人に「情報収集をしているのだけど、こういう仕事をしている人を知らないか?」と声をかけてみましょう。実際にその仕事をしている人、または一緒に仕事をしている人などに話を聞ければ、具体的に仕事の内容がわかるでしょう。もちろん会社によって違うことも沢山あるでしょうけど、かなり参考になると思います。
(ADHDの人は目の前のことに気を取られがちですが、会ってくださった方や、紹介してくれた友人にはきちんとお礼状を出すなどの「社会人としてのマナー」も忘れないようにしてください)
またADHDの人たちの自助グループも増えているようですので、そういったところに出かけて、実際にどのような仕事をしているのか、仕事をしていて困ることはないかなど、先輩たちの話をきくのは有意義なことでしょう。
・・・とこのような活動をしていると、あっという間に数か月がたってしまうでしょう。早く活動を開始しないと、気付いたらもう卒業が目の前とか、貯金が底をつくといったことになりかねません。
自分から売り込むことも考えよう
仕事を探すとき、求人情報を見て応募することが多いと思います。その場合、まずインターネット上でエントリーシートを作成して送信したり、履歴書を書いて郵送したりすることが多いでしょう。ケアレスミスが多いADHDの人の場合、送る前に家族や信頼できる友人に確認してもらうことをお勧めします。数人の募集に対して何百人もの応募がある場合、フリガナをカタカナでと注釈があるにもかかわらず、不注意でひらがなで書いただけでふるい落とされてしまいますから。
また場合によっては、知り合いなどに「今仕事を探しているんです」と話をして、紹介してもらうこともあるでしょう。恥ずかしがらずに、沢山の人に「こういう仕事をしたいと思っている」と話しておくと、思わぬところから声がかかる可能性もあります。
更に積極的に「○○が得意で、**コンクールで受賞したことがあります。××の仕事を探していますが、採用してもらえませんか?」と自分から売り込む方法もあります。これに関してはあっさりと断られることも高いので、門前払いをされても落ち込まないタフな精神の持ち主にお勧めします。
ADHDだと言った方がいい?
面接の時などに、自分はADHDだと言った方が良いのかどうかということは、皆さん迷うところでしょう。それぞれの症状が違いますから一概には言えませんが、基本的には言わない方が良いという方が多いようです。大企業なら採用担当者はいろいろな知識を持っていますが、多くの企業の採用担当者は他の仕事と兼務していてADHDに関する知識が少なく(あるいは全くなく)、誤解や偏見を持たれる可能性があります。また大企業であっても採用担当者は理解をしてくれたとしても、入社後に上司や同僚から誤解を受けるかもしれません。
仕事を始めてからどうしても必要なら伝えた方がいいでしょうけれど、その時も「実はADHDで集中が難しいですが、ひとりになれるように空いている会議室を使わせてもらえれば大丈夫です」などとカバーできる方法も必ず一緒に伝えましょう。
*参考:デイル・S・ブラウン著/ニキ・リンコ訳『さあ、どうやってお金を稼ごう?
LD,ADHDの人のための将来設計ガイド(就職活動編)』(花風社)
仕事を探すときには、あちこちの会社に応募して、今日はA社の面接で結果は明日電話が来る、明日はB社の筆記試験で結果通知は一週間後、その前にC社にエントリーシートを送らないと・・・と多くの予定が入ってきます。専用のノートを一冊用意し、就職活動に関することはすべてそのノートに書くようにして、混乱しないように管理しましょう。目のつくところに大きなカレンダーを貼って、そこに予定を全部書いてもいいでしょう。
ADHDの人の場合、自分に適した仕事に就くことは大変重要ですから、自信をもって、粘り強くかつ細心の注意を払って、自分の未来をつかみ取ってください。
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