ADHDの特徴を長所として活かす
2015年6月9日 [ADHD 症状 特徴]

ADHDの特徴は?
自分や家族・周囲の人が「もしかしたらADHDなのでは?」と考え始めるきっかけの多くは、「なぜいくら注意しても物を失くしたり、約束を忘れたりするのか?」など日常生活での困りごとではないでしょうか?
ADHDの大きな特徴に遅刻が多い、片付けられない、締め切りを守れない、ケアレスミスが多いなどがあります。マイナス面の特徴によって「暮らしにくい・付き合いにくい」と感じ、なぜなのかを調べているうちに「ADHD」という単語を見つけ、「そう!これだ!」と気付くのではないでしょうか?そしてインターネットで簡単に調べ物が出来なかった時代には、単に「変わり者」「困った人」と思われていたのではないでしょうか?
これらのマイナスの特徴が目立ちがちですが、自由な発想をして次々にアイディアを生み出す、他の人と違ったものの見方をして物事の解決策を見出すなど、プラスの特徴も持っています。
長所として活かす方法を考えよう
ADHDの方は一般的な物事に集中できない反面、興味がある事柄については夢中になり、文字通り寝食を忘れて集中します。ADHDの場合、どちらかというと知能は高い人が多く、アイディアや発想が豊かです。
また悪く言えば飽きっぽい、良く言えば多方面に興味があり多趣味で、さまざまな知識が豊富な人も多いでしょう。
ですから自分が興味を持てること、自由な発想が生かせること、幅広い知識があることなどを活かせる仕事に就ければベストでしょう。
*参考:ロクスケ+WingBrain委員会メンバー著『当事者が語る大人のADHD』(明石書店)
協力者を作ろう
しかし現実世界はそう都合よく出来てはいません。残念ながら理想的な仕事に就ける人の方が少ないでしょう。
ではどうしたら良いのでしょうか?それは周囲に協力者を作ってギブ&テイクをするのです。
一般的にADHDの人は「締め切りまでに書類を作る」といったことが苦手です。そして例えば「コンピューターに詳しい」などの得意分野を持っています。
そこで気の合いそうな同僚に「自分はどうしても書類を作るのが苦手なので手伝ってほしい。その代りにパソコンでのデータ整理は手伝えるよ」と「取引」をするのです。学校の宿題ならそういった「取引」はNGでしょうけど、社会で「暮らしにくい」思いを軽減するには役立つでしょう。
もちろん家庭でも「部屋の片づけを手伝ってほしい。かわりに皿洗いをするよ」などと苦手なことを、得意な人に手伝ってもらうと良いでしょう。
職場でも家庭でも、得意な人に手伝ってもらいながら一緒に作業することで「こういう手順でやればうまく出来るんだ」という方法の発見にもなるでしょう。ADHDの人は他の人が理解できない難解なことを容易にわかる反面、他の人が簡単にできることがうまく出来ないようですから。
自分自身を客観的に見てみよう
ADHDは脳機能の一部の偏りを原因とした、発達障害のひとつとされています。しかし障害とはいっても、脚が悪いなどのケースと違って周囲の人には理解しにくいものです。場合によっては本人さえも自分がその障害を持っていると気付いていないことさえあります。
本人が気付いていなければ対処もできませんし、放っておくとマイナスの特徴ばかりが目立って、周囲の人たちから疎まれ、自己嫌悪に陥り、ついにはうつにまでなってしまうことも多いのです。
ADHDと診断された人も、もしかしたら…と思っている人も、まずは冷静に客観的に自分の「特徴」を観察してみませんか?ADHDの人全員が「片付けられない」訳ではないのです。自分の得意なことや好きなこと、苦手なこと、自分で困ったなと思っていることをリストアップしてみましょう。
ADHDの人は、たとえば注意力を必要とするような仕事はいくら頑張ってもやはり苦手です。これは脳の機能の問題で、本人の頑張りとは無関係なのです。しかし知能が高いのにケアレスミスが多いため、周囲から「いい加減な人だ」と思われがちです。
ところが実は本人は高い理想を持った完璧主義であることが多く、完璧な書類を作らなければと思い悩んでいるうちに締め切りを過ぎてしまうのです。また「加減」が苦手で、興味があるAプロジェクトの資料は完璧に作り上げるのに、興味が無いBプロジェクトに資料は全く手つかずという、100かゼロかになりがちで、周囲から「困った人」と思われてしまいます。
そこで自分を客観視して、まずは出来ること・得意なことを更に伸ばして周囲の人に「困ったところもあるけど、得意分野では秀でた人」と認識してもらいましょう。
更に苦手なことについても、締め切りを守ることが最優先と認識をする、興味のない仕事でも「面白い」と思える点を探してとにかく手を付けるなど、100点を目指さず社会人として生きていくための「トレーニング」を少しずつ重ねてゆきましょう。
*参考:櫻井公子著『どうして私、片付けられないの?』(大和出版)
残念ながら現時点ではADHDを完全に治すことは難しいため、得意分野を伸ばして協力者・理解者を増やしていくことが必要です。
そのうえで出来ないことは手伝ってもらったり、さまざまな工夫(メモを取る、タイマーを使う、自分なりのマニュアルやルールを作るなど)をしたりして、社会生活に支障が出ないように努力をすることで、ずっと感じてきた「暮らしにくさ」を減らすことが出来るでしょう。
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