ADHDとミネラル
2015年9月1日 [ADHDと栄養]

栄養でADHDを改善できるの?
私たちは必要な栄養補給や、日常生活の工夫でADHD症状を軽減できるケースが多くあると考えています。もちろん全員が完全に「治る」わけではありません。
でも「子供に薬を飲ませる前に、出来ることがないか?」と考えているなら、栄養や生活環境について考えてみることをお勧めします。必要な栄養補給も、子供に適した環境づくりも、仮に思っていたような結果が得られなくても「副作用」などデメリットはないのですから。
栄養補給でのADHDの改善については、さまざまな研究やテストが行われており、目を見張るほどの効果があったといものから、わずかだけ改善したというものまで結果には幅があります。テストによって与えた栄養素も異なりますし、対象者の年齢もまちまちですし、何より個人差がありますから、当然結果はばらつきます。しかしどのテストの結果でも栄養補給によって悪化したというものはありません。
ミネラルとは?
広い意味ではミネラル=鉱物ですが、栄養の話をしているときのミネラルはカルシウムや鉄などをはじめとする健康維持に必要な無機質を差しており、一般的にはナトリウム、マグネシウム、リン、イオウ、塩素、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、セレン、モリブデン、ヨウ素の16種類の総称です。
よく「ビタミン・ミネラル」とビタミンとセットで呼ばれるように、ビタミンと一緒に働く場面も多く、両方をバランスよく摂ることが必要です。 ビタミンもミネラルもどれかひとつだけを沢山摂ればよいというものではなく、まずはすべてのビタミン・ミネラルが必要な量だけ摂れていることが大前提です。
そのうえで、特に必要と思う栄養素を追加しなくては、その働きを実感することは難しいものです。まずはバランスよく野菜・果物・主食・肉・魚・海藻を食べましょう。
ADHD軽減に役立つミネラルは?
バランスよい食事をしたうえで、さらに多く摂るように心がけて欲しいミネラルは、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛です。
<カルシウムとマグネシウム>
「カルシウムが不足するとイライラしやすい」という話を聞いたことがありませんか?カルシウムが骨や歯を丈夫にすることは良く知られていますが、マグネシウムと共に精神を落ち着かせる働きもあります。
カルシウムの補給源としては乳製品が効率良いですが、乳製品が苦手な方やアレルギーの方もいるでしょう。桜エビやしらす干しなど丸ごと食べられる小さな魚介類や、青菜類でもカルシウムを摂ることが出来ます。小松菜や青梗菜よりも、大根やカブの葉にカルシウムが多く含まれていますから、捨てずにうまく料理してくださいね。
<鉄>
鉄が不足すると貧血になるということも良く知られていますね。貧血になると脳を含む全身の細胞へ、必要な栄養や酸素を運ぶことが出来なくなってしまい、さまざまなトラブルが生じるうえに、倦怠感・やる気がおきないという症状が現れます。
さらに重要なことに鉄はドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンといった神経伝達物質を作る時に欠かせないものでもあるということです。これらの神経伝達物質がきちんと作られないと、やる気や満足感が得られず、無気力や感情が不安定になるなどの症状が現れます。
鉄を多く含む食材と言えばレバーを思い浮かべる方も多いと思いますが、ひじきや貝類、かつおやマグロにも多く含まれています。
*ひじきを使ったメニューはこちらをご覧ください。→ひじきの煮物で簡単「ひじきご飯」と「がんもどき」
<亜鉛>
亜鉛はカルシウムや鉄と比べると知名度が低いかもしれません。しかしADHDの子供では亜鉛が不足していることが多いといわれており、気を付けて補いたい栄養のひとつです。
亜鉛は神経伝達物質を作る時に必要なミネラルで、脳の働きを高めたり、感情を安定させたりする働きがあります。さらに日常生活の中で体内に取り入れてしまう有害物質を排泄させる働き(=デトックス作用)もあります。
亜鉛は貝類をはじめとするシーフードやレバー類に多く含まれています。またナッツ類も亜鉛が豊富ですから、おやつとしてお勧めします。
*亜鉛のデトックス作用についてはこちらをご覧ください。→毎日の食事で解毒力(デトックス)を高める栄養素を補いましょう
毎日しっかりバランスのとれた食事をすることが理想ですが、実際には難しいものです。「昨日は海藻を食べられなかったから、今日は多めに食べよう」というように2~3日をセットにして、そのなかで上手く調整するなど、続けられる工夫をしましょう。
*こちらもご覧ください。→ADHDの子供のための栄養補給の仕方<まとめ>
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