腸が整うと脳もいきいき!
2014年11月15日 [ADHDと腸内環境]

腸と感情の密接な関連
腸は食べた物の消化・吸収するだけではなく、ウイルスや細菌の侵入から身体を守る免疫機能の多くを担っており、健康を維持するうえで重要な役割を果たしています。
さらに「心」とも密接に関連していることが最近の研究によって明らかになってきました。
感情や思考などを司るセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質は、食事で摂ったタンパク質やビタミン・ミネラルなどを原料として、腸で前駆体と呼ばれる完成手前の状態まで作られ、それから脳に運ばれて「仕上げ」が行われます。
そのため腸内環境のバランスがくずれると、脳では神経伝達物質が不足して精神的に不安定になると考えられています。
脳内の神経伝達物質のバランスを良い状態に保つために、脳と腸は密接にかかわりあって働いているのです。
脳が必要としている栄養素も、腸内環境が整っていないと・・・
神経伝達物質はアミノ酸を原料として作られます。しかしアミノ酸を多く含む食品を摂取しても、腸内環境が整っていないとしっかりと吸収することが出来ませんし、神経伝達物質の前駆体も十分には作られません。
またドーパミンやセロ卜ニンを合成する際に不可欠な葉酸やビタミンB6などを作るのも腸内細菌なのです(食事で摂取したもの+腸で作られたものの合計で、必要量を満たします)。
脳にしっかりと、腸内で作られたドーパミンやセ口卜ニンのもとを送り届けるためにも、腸内環境を正常に保つための、腸内細菌の存在がとても大切です。
まずは腸内環境を整えよう
人間の腸内には100種類以上、およそ100兆個もの細菌が住み着いています。そして常に勢力争いを繰り広げています。健康な人では、腸内細菌がバランスよく存在しています。まるでお花畑のように、びっしりと同じ種類がかたまっているので「腸内フローラ」とよばれています。
腸内細菌のバランスは、ひとりひとり異なっており、食事の内容や年齢、また体調によってもどんどんと変化しますが、理想的なバランスは善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%とされています。
善玉菌を増やして、悪玉菌を減らしましょう
善玉菌は、消化・吸収のサポートや、ビタミン類を合成して免疫力の強化につなげるなど、腸本来の働きを発揮するために欠かせない菌です(乳酸菌、ビフィズス菌など)。
悪玉菌は増えすぎると困る要注意菌です。腸内のものを腐敗させて、便秘や下痢を招いたり、大腸がんをはじめとする様々な病気の根源になったりする菌です(ウェルシュ菌、セラチア菌、黄色ブドウ球菌など) 。
日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の、勢力が強いほうの味方に付いて応援をする移り気な菌です(無毒性悪玉菌、連鎖球菌など)。
腸の味方になって身体に良い働きをしてくれる善玉菌と、腸の働きを妨げて困らせる悪玉菌の、どちらが優勢になるかで腸の働きは大きく左右されます。
善玉菌が優勢だと、体に悪さをする悪玉菌を抑え、日和見菌を味方につけることができます。そうすると腸は活性化されて元気になり、消化・吸収、排出などの機能はもちろん、病原菌やウイルスと戦う力もアップします。
逆に悪玉菌が優勢だと、善玉菌のパワーが発揮されず腸の働きが低下します。便秘や下痢の原因となるのはもちろん、体全体の免疫力がダウンしたり、肥満、糖尿病、アトピー、喘息などの引き金になったりと、様々な不調を引き起こします。
ですから腸本来の働きを発揮させるには、腸内を「善玉菌優勢」の状態に保ち、腸を元気にすることが大切なのです。
腸内環境は人の思考や行動にも影響している!?
この腸内の菌たちが脳に影響を与えていることを代謝産物(脳内で作られる物質)レベルで明らかにした、という研究結果が2013年4月23日に協同乳業より発表されました。
これまでに既に、腸と脳には共通の情報伝達物質と受容体を使った双方向的なネットワーク“腸脳相関”があることや、腸脳相関における腸側の動きについては腸内細菌が強く関わっていることなどが分かっており、発達障害や脳の発達と行動にも腸内フローラが影響することが報告されています。
そして今回の研究で、脳のエネルギー消費にも腸内細菌が影響していること、つまり腸内の菌が人の思考や行動にも影響している可能性がある、脳内の神経伝達物質やその前駆体の種類や量も腸内環境に左右される可能性がある、ということが示されました。
この研究グループは、今回の結果について「腸内細菌が大脳の代謝系に大きな影響を与えていることを示すもので、脳の健康、疾病、発達および衰弱、さらにヒトを含めたほ乳類の学習、記憶および行動の研究において重要な基礎的知見となるもの」と説明しています。
*参照:腸内常在菌が宿主の思考や行動に影響を与えている!?
- 協同乳業など
マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2013/04/23/219/
少し難しい話になりましたが、脳の働きには腸が深く関わっているということが、だんだんと証明されてきています。腸内の状態が悪いと脳にまで影響を及ぼし、人間の思考や行動、学習や記憶などにも関わっているということを聞くと、驚いてしまいます。
脳が健康にしっかり働くためには、腸内環境をしっかりと整えることがとても大切なのです。
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